ゴー宣DOJO

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切通理作
2012.10.3 00:20

「慰安婦問題アゲイン」の意味するもの

   次回のゴー宣道場は「慰安婦問題アゲイン」です。

 そこで私は、97年に小林よしのりさんが慰安婦強制連行問題についてのゴー宣の内容に抗議してきた43団体の内から5人の人間を相手にテレビで論争した時の模様を、ユーチューブで見直しました。

 http://www.youtube.com/watch?v=ndE5iAfOxc4

 見るのは放映当時以来です。

 

 「従軍慰安婦の強制連行があった」というのは、朝鮮半島でそこらを歩いている婦女子を日本軍が強制的に拉致してきた・・・・・・などというような野蛮なことがあったと言っているのかなと当初僕などはイメージしていたのですが、この番組の時点では、彼ら強制連行派にとって「慰安所自体がレイプ」という奇怪な論理になっており、証拠となる文書がないという小林さんの指摘に対しては、「むしろないからおかしい。法的に不整備なものを軍が許したのは強制連行と同義だ」という論理になり、「公娼制度が当時あったから犯罪ではなかった」という指摘には「法的に不整備だから慰安婦は公娼制度の範囲外」という論理を持ち出してきます。

 

 あなたたちはなにがあっても祖父の世代を悪者にしたいんですかと小林さんが言うのも、いまではわかります。この討論は、日本人と韓国人の間で行われたものではなく、日本人同士の討論なのですから。

 

 でも当時の私は、この強制連行派の人たちほど「なにがなんでも日本軍は悪」とまでは思ってはいなかったものの、まだまだ「強制連行が本当にまったくなかったのかどうか」という疑問を持ってテレビを見ていたと思います。

 

 戦後、「日本がやった事は間違いだった」という認識は、まず日本軍の作戦の合理性や、兵士の扱いが真っ当だったのかどうかというところから始まったのではないかと思います。次に、空襲や原爆に遭った、一般の人間の犠牲について声を挙げる人が多くなり、その次に、日本人ばかりではなく、アジアの人々に迷惑をかけたのではないかという認識が広まり、更にその後、戦時の売春という形で女性を犠牲にした歴史があるのではないかという順序だったのではないでしょうか。

 

 つまり「戦争自体が悪であり、そこに専従する軍隊は言うまでもなく悪者である」という認識の上に、戦後の平和の中で、「自分たちはここまで戦争を反省出来る綺麗な心の持ち主なんだ」という「自己浄化作用」を重ねていった歴史があるのです。そして私もまた、その内閉したナルシシズムによる自己洗脳から抜け切れていなかったのです。

 

 上に挙げた歴史と並行して、日本は法律で売春を禁止し、女性の人権意識も高まっていったということがあり、その二つの経緯があいまって、1970年代に「従軍慰安婦問題」という認識が市民左翼の間で広まったのだと思います。

 

 しかし小林さんと捏造派5人が対談した時点においてすら、韓国ではまだ売春は禁止されていなかったのです。

 

 韓国が売春を禁止したのはゼロ年代に入ってからです。売春婦たちは職業を奪うなとデモをしました。また韓国には徴兵制度があるのは言うまでもありません。

 

 「従軍慰安婦問題」が、日本の市民リベラルによる「自己浄化作用」の繰り返しの果てに作られ、これに韓国朝鮮が乗っかって、国際問題にまで発展してしまったというのが実相ではないでしょうか。

 

 かつて戦争があったということを払拭して、きれいな心の上にもきれいになりたいという戦後日本人自身が生み出したものが「従軍慰安婦問題」なのでしょう。

 

 つまり慰安婦問題とは畢竟、戦争を我々の現実認識の中に捉えられるかどうかということと関わっているのではないでしょうか。

 

 戦争という現実を同じ認識上に見据えながら平和を希求するのではなく、心優しく、きれいな人でありたいというナルシシズムの中で非常時を忘却しているという姿勢は、尖閣問題に対するリベラル層の態度にも現われているように思います。

 

  小林さんが5対1で討論した時代から、日本人にとっての<戦争>の認識はどれだけ変わったのか、次回の道場では、集まった皆さんとともに確認し合いたいと思います。 

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第30回ゴー宣道場は

平成24年10月14日(日)午後1時 から
『人事労務会館』 にて開催します。


「人事労務会館」
(住所:東京都品川区大崎2-4-3 )は、
JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン・りんかい線
『大崎駅』北改札口 を出て左へ、
「西口」 側の左階段を降りて、徒歩3分です。

入場料は、お一人1000円です。

参加ご希望の方は、

往復はがき に、『第30回参加希望』 と明記、

さらに、


1.
氏名(同伴者がいる場合はその方の氏名と続柄・関係など)

2. 住所

3. 電話番号
4. 年齢

5.
職業(学生の方は学校名)
6.
募集を知った媒体
7.
応募の理由と道場への期待

返信はがきの宛名には、ご自分の氏名・住所をご記入の上、

152-8799

東京都目黒区目黒本町1-15-16 目黒郵便局・局留め

『ゴー宣道場』代表・小林よしのり、担当・岸端


まで、お送り下さい。

応募〆切

平成24年10/5(金)必着

当選された方にのみ当選通知を送らせて頂きます絵文字:記念日
当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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